テレビ版・旧劇場版の惣流・アスカ・ラングレーと、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズに登場する式波・アスカ・ラングレー。単なる名字の変更にとどまらず、両者の間にはキャラクターの出自やバックボーン、人間関係の構築において決定的な差異が存在します。
旧シリーズの「惣流」が大日本帝国海軍の航空母艦「蒼龍」に由来するのに対し、新劇場版の「式波」は吹雪型駆逐艦「敷波」から命名されました。庵野秀明総監督は、新劇場版を制作するにあたり「テレビシリーズとは異なる新しい世界・新しい物語」であることを明確に提示するため、綾波レイ(綾波型駆逐艦)と対になる形で「波」の艦名を意図的に揃えたと明かされています。
さらに物語上の根本的な違いとして挙げられるのが「出生の秘密」です。惣流が生殖によって生まれた純粋な人間であり、母親との濃密な血縁トラウマを抱えていたのに対し、式波はシキナミ型パイロットとして造られたクローン(人工生命体)でした。惣流が他者からの絶対的な承認と愛情に飢えていたのに対し、式波は「自分には誰もいない、一人で生きるしかない」という孤立を受け入れ、よりドライで自立した戦士として描かれています。