二人の出会いは1972年、伝説的なラテンロックバンド「ペドロ&カプリシャス」に遡ります。初代ボーカルの前野曜子さんの脱退に伴い、福岡から上京して2代目ボーカルに抜擢されたのが当時23歳の高橋真梨子さんでした。同バンドでフルートやサックスを担当し、バンドマスター補佐としてサウンドを統括していたのが、約5歳年上のヘンリー広瀬さんです。
上京したばかりで極度の緊張とプレッシャーに晒されていた高橋さんに対し、音楽的にも精神的にも真っ先に寄り添ったのがヘンリー広瀬さんでした。当時の関係者やバンドメンバーの回想録によると、リハーサル中の的確なアドバイスや移動中の細やかな気配りを通じて、二人は急速に信頼関係を深めていったと記録されています。
1978年に高橋真梨子さんがソロ歌手として独立すると、ヘンリー広瀬さんもバンドを離脱。専属の音楽プロデューサー兼アレンジャー、そしてコンサートマスターとして彼女のソロ活動を全面的にプロデュースする体制を整えました。公私にわたるパートナーシップはここから本格化し、1980年頃から都内のマンションで同棲生活をスタートさせます。
「音楽作りに妥協しないプロ同士」としての緊張感を保つため、あえて入籍という形式に縛られず過ごした歳月は実に約13年。二人が正式に婚姻届を提出したのは、出会いから21年が経過した1993年8月5日のことでした。アメリカ・アイダホ州の教会で挙げられた挙式は、派手な芸能人婚とは一線を画す、極めて静かで厳粛なものでした。