テレビ業界関係者が一様に驚愕するのは、サンテレビが持つ「編成の柔軟性」です。在京・在阪の主要キー局であれば、プライムタイム(19時〜23時)には莫大な制作費と全国ネットのスポンサーがついたドラマやバラエティ番組がひしめき合っており、プロ野球中継を何十分も延長することは巨額の違約金や視聴率低下のリスクを伴います。地上波全国ネットから野球中継が激減した最大の要因もここにあります。
対してサンテレビは、どの全国系列ネットワークにも属さない「独立放送局」です。番組編成の決定権を100%自社で保持しているため、自社の判断ひとつで後続番組を繰り下げることが構造的に可能です。さらに言えば、局の看板である『サンテレビボックス席』こそが最大の優良コンテンツであり、視聴率と広告出稿を牽引する絶対的な柱となっています。
放送関係者の証言によると、「中継が白熱して延長戦にもつれ込むほど視聴率は跳ね上がり、深夜帯であっても安定した視聴者数を維持できる」という地方独立局ならではの逆転現象が成立しています。後続に控える自社制作番組や深夜枠の外部購入コンテンツは時間変更に対する契約上の許容度が比較的高く、臨機応変なタイムテーブル変更が日常的に運用できる体制が整っているのです。
サンテレビの野球中継における延長ルールには、事実上の「時間上限」が存在しません。かつて1992年9月11日に阪神甲子園球場で行われた阪神タイガース対ヤクルトスワローズ戦では、抗議による中断を含めて試合時間が日本プロ野球史上最長となる6時間26分を記録しました。試合終了は深夜0時26分に達しましたが、サンテレビは試合開始からゲームセット、さらには深夜0時30分の放送終了まで一切中継を打ち切ることなく放送し切るという伝説を打ち立てています。この徹底した姿勢こそが、半世紀にわたり虎党から絶大な信頼を寄せられる最大の論拠です。