日常生活において地球の円周 4万キロというキリの良い数字が定着している背景には、科学史に残る壮大なドラマと国際規格の制定が関係しています。
歴史上、最初に地球の大きさを科学的に算出したのは、紀元前3世紀の古代ギリシャの天文学者エラトステネスでした。知られているエラトステネス 測定方法は、夏至の日の正午にシエネ(現在のアスワン)では深い井戸の底まで太陽光が届く(太陽高度90度)のに対し、そこから約800km北にあるアレクサンドリアではオベリスクの影から太陽光が約7.2度傾いているという観察から始まりました。
7.2度は円全体(360度)のちょうど50分の1にあたります。「2都市間の距離×50」という極めてシンプルな幾何学的計算から、彼は地球全周を約4万6,000km(当時の単位スタディオンからの換算)と推定しました。紀元前の段階で、誤差わずか10〜15%程度という驚異的な精度で地球の大きさを把握していたのです。
その後、1791年にフランス科学アカデミーが「世界共通の長さの単位」を策定する際、「北極点からパリを通って赤道に至る子午線弧長の1,000万分の1」を「1メートル」と厳格に定義しました。すなわち、北極から赤道までが1万km、子午線1周(4倍)が4万kmとなるよう設計されたため、地球一周は定義上「きっちり4万キロ」になったという経緯があります。