『ごくせん』がこれほどまでに長く愛されるドラマとなった背景には、職員室シーンにおける徹底した「生きた芝居」がありました。当時の制作関係者やキャスト陣のインタビュー・手記から、あの職員室がいかにして作られていたのかを振り返ります。
最大の魅力であったヤンクミと猿渡教頭の掛け合いは、台本に書かれたセリフの何倍ものアドリブが飛び交う現場だったと伝えられています。特にごくせん 教頭役 俳優としてシリーズ全作を牽引した生瀬勝久は、仲間由紀恵の素のリアクションを引き出すため、本番直前まで仕掛けるタイミングを隠していたと言います。仲間由紀恵もまた、生瀬の突飛なアドリブを完璧にいなし、ヤンクミらしい男勝りな切り返しで応戦するという、まさに阿吽の呼吸が現場で繰り広げられていました。
さらに第3シリーズから参入した佐藤二朗(古典教師・牛島役)は、独自の長回しアドリブと独特の間で職員室の空気を一変させ、共演者たちが笑いを堪えるのに必死だったというエピソードはファンの間でも有名です。
重くなりがちな不良生徒たちの家庭環境や非行問題、暴力沙汰といったシリアスなテーマを扱いながらも、作品全体がカラリと明るい痛快エンターテインメントとして成立していたのは、この職員室の教員陣が醸し出す「日常の温かさとユーモア」が視聴者にとって心理的な安全基地となっていたからに他なりません。