那須塩原の秘境カフェとして圧倒的な知名度を獲得した最大の要因は、計算された演出では決して作り出せない「自然との極限的な一体感」にあります。店舗の縁側や渓流のすぐ脇に設けられた野点傘の下の座席に腰を下ろすと、視界いっぱいに原生林の深い緑と、岩肌を白く泡立たせながら流れる清流が広がります。
川面との距離はわずか数十センチ。水しぶきの微粒子を肌で感じ、天然のマイナスイオンと心地よい沢音に包まれる空間は、都市部で蓄積した情報過多のストレスを一瞬でリセットする圧倒的な没入感をもたらします。
この特異な舞台装置の上で提供されるのが、同店の象徴である名物の草団子です。地元産の上質なしんこ粉に風味豊かな天然ヨモギを贅沢に練り込んだ団子は、噛みしめるたびに野趣あふれる爽やかな香りが鼻腔を抜けます。上品な甘さのこし餡と香ばしいきな粉の二重奏が絶妙で、清流を眺めながら濃い緑茶とともに味わうひとときは、多くの旅人に「わざわざ足を運んだ甲斐があった」と実感させる決定打となっています。
加えて、甘味のみならず軽食として親しまれている「きのこ蕎麦」(約900円)も高い支持を集めています。たっぷりの山菜と風味豊かなきのこが濃いめの関東風出汁に溶け込み、山間の冷涼な風で冷えた身体を芯から温めてくれる滋味深い一杯として、多くのリピーターを惹きつけてやみません。