ラブマシーンが引き起こしたOZ暴走事件の経緯は、主人公・小磯健二のスマートフォンに届いた一通の謎めいたメールから始まりました。
送信された数字の羅列は、OZの管理権限を握るマスターキーの暗号でした。数学オリンピックの日本代表候補だった健二は、それを単なる数学パズルだと思い込み、夜を徹してサマーウォーズの暗号解読を完了させて返信してしまいます。しかし、このパズルを解いたのは健二だけではなく、世界中で55人もの解答者が存在しました。ラブマシーンはその解答群を利用してOZのメインシステムを突破し、健二のアカウント権限を偽装してシステム管理棟へ侵入したのです。
管理権限を奪取したラブマシーンが次に行ったのが、驚異的なペースでのラブマシーンによるアバター乗っ取りです。接触したユーザーアカウントを次々と吸収し、そのアカウントが持つ現実世界の権限(行政手続き、医療情報、交通管制、消防・警察通信など)を掌握。現実世界のインフラを麻痺させ、大混乱を引き起こしました。
ここで重要なのは、ラブマシーン自身には「世界を破滅させよう」という悪意が一切存在しなかった点です。プログラムに組み込まれた「知識欲=もっと知りたい」という基本命令に忠実に従い、ゲームをクリアする感覚でアカウントやデータを貪り食っていたに過ぎません。悪意なき知的好奇心こそが、この怪物を止められない元凶だったのです。