自民党総裁選挙の仕組みを理解する上で、最も本質的なのは「第1回投票」と「決選投票」で適用される力学が根本から異なる点です。総裁選は、所属国会議員による「議員票」と、全国の党員・党友による「党員票」の合算で争われます。任期満了に伴う通常の総裁選では、この2つの票数が同数となるように設計されています。
具体的には、所属国会議員数と同数の党員票(例えば議員数が370人前後であれば党員票も370票)が用意され、全国の党員・党友の投票結果に応じて各候補へドント方式で比例配分されます。したがって、第1回投票においては党員票と議員票の割合が1対1のイーブンとなり、地方組織の支持や全国的な世論の風向がダイレクトに結果へ反映されます。
しかし、第1回投票で過半数を獲得する候補が出ない場合、上位2名による決選投票のルールと真相が作動します。ここが永田町の「魔の領域」です。決選投票では、国会議員票(約370票)に対して、党員票は「各都道府県連に1票ずつ」の計47票に激減します。総投票数のうち国会議員票が占める割合はおよそ89%に達し、民意や党員の意向よりも、国会議員同士の貸し借りや合従連衡が勝敗の絶対的な支配要因へと変貌します。