1969年7月1日に発売された『人形の家』は、累計売上100万枚を突破する大ヒットを記録しました。1960年代初頭に「ミコちゃん」の愛称でダイナミックなポップスを歌っていた少女が、突如として妖艶な大人の女性へと姿を変えて放った一曲は、当時のリスナーに強烈なカルチャーショックを与えました。
哀愁を帯びたマイナー調のメロディと、愛に破れた女性の儚さを歌い上げるドラマチックな歌唱は、それまでの明るく快活なイメージを鮮やかに覆しました。テレビ画面に映し出された洗練された佇まいと情念のこもったボーカルは、お茶の間の話題を独占し、シングル盤が飛ぶように売れる社会現象へと発展したのです。