富良野の大自然の中で泥臭く、時に滑稽に、それでも深い愛情を持って子どもたちを育て上げた黒板五郎。演じた田中邦衛さんは、2021年3月24日に老衰のため88歳でこの世を去りました。晩年は公の場から退き静養を続けていましたが、訃報に際しては共演者や脚本の倉本聰氏から追悼の言葉が相次ぎ、日本中が深い喪失感に包まれました。「子どもがまだ食ってる途中でしょうが!」に代表される数々の名台詞と、不器用な父親像は今も色褪せることはありません。
長男・純を演じた吉岡秀隆さんは、本作での過酷な撮影と実体験を通じて俳優としての基礎を築き上げました。映画『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズやドラマ『Dr.コトー診療所』など、数々の国民的ヒット作で主演を務め、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を複数回受賞。2020年代半ば以降も、重厚な人間ドラマや骨太な映像作品において唯一無二の存在感を放っています。インタビュー等では「五郎さん(田中邦衛さん)は今でも心の中に生きている」と語り、役者としての原点が富良野にあることを公言しています。
長女・螢を演じた中嶋朋子さんは、透明感あふれる佇まいと確かな演技力で、舞台、映画、ナレーション、文筆活動と幅広く活躍を続けています。幼少期から思春期、そして看護師となり母となる螢の波乱万丈な人生を演じきった経験は、現在の深みのある表現力に直結しています。近年は朗読劇やクラシック音楽とのコラボレーション企画など、言葉の表現者としての領域をさらに広げています。