「へけっ」という音色を語る上で欠かせないのが、アニメ開始当初からハム太郎の声を演じ続ける声優・間宮くるみさんの卓越した演技力です。
当時のアフレコ現場の取材記録や関係者の回想によると、台本に書かれた細かな息芝居やト書きに対し、間宮さんは単なる声優の枠を超えたアニマルボイスの探求を行っていました。鼻にかかった高周波のトーンと、小気味よく跳ねるようなアタック(音の立ち上がり)は、間宮さんの声質と演技プランだからこそ成立した職人技です。
監督をはじめとする音響スタッフもこのニュアンスを絶賛し、当初は単発の驚き表現だったものが、シリーズが進むにつれて「ハム太郎のトレードマーク」として脚本上にも明確に組み込まれていきました。声優の偶発的なインスピレーションと、それを即座にシリーズのコアに据えた制作陣の柔軟性が、四半世紀にわたって愛される言語アイコンを作り上げたのです。