なぜ緑谷出久のビジュアルは、これほどまでにファンの魂を揺さぶるのでしょうか。その答えは、彼が辿った「過酷な運命の蓄積」がそのまま肉体とコスチュームのディテールに刻み込まれている点にあります。
物語中盤以降、オールマイトから受け継いだワンフォーオール フルカウルの発動エフェクトは、緑の稲妻から歴代継承者の異能が絡み合う複雑な光へと進化しました。読者や視聴者の目を奪うのは、単なる王道主人公のパワーアップではありません。「一歩間違えれば破滅する」という危うさと、それでも他者を救うために身を削る少年の覚悟が、線の1本1本に宿っているからに他なりません。
特に「黒デク」と称される単独行動期の姿は、歴代ジャンプヒーローの中でも異質です。かつて母・インコが手縫いで作ってくれたコスチュームの面影を残しつつ、雨風と返り血に汚れ、オールマイトのマントをボロボロに引き裂きながら街を跳躍する姿は、怪異のような異様さと神々しいまでの美しさを同時に放っていました。この「退廃的な美(ダークヒーロー的造形)」と「内面にある純粋すぎる救済の祈り」のギャップこそ、かっこいいイラストとして絶賛される根源的な理由です。