「ミラノ風ドリアが300円、グラスワインが100円なら、注文されるたびに赤字なのではないか」という疑問はネット上でも長年議論されてきました。しかし、サイゼリヤは慈善事業ではありません。この価格設定の裏には、冷徹なまでのサプライチェーン最適化が存在します。
まず、創業以来の看板である「ミラノ風ドリア」の原価の秘密は、オーストラリア・メルボルン近郊に設立された巨大自社工場「サイゼリヤ・オーストラリア」にあります。広大な専用牧場で搾乳された新鮮な生乳を使用し、毎日40トン以上ものホワイトソースを一貫製造。これを海上コンテナで直接日本の各物流センターへ輸送しています。商社や中間卸業者を一切挟まず、原材料の一次生産から加工までを垂直統合したことで、原価率を約35%〜40%の健全枠に収めながら300円という衝撃価格を実現しています。
一方の「グラスワイン100円(税込)」も同様です。イタリア・モリーゼ州の名門ワイナリーと直接提携し、サイゼリヤ専用のブドウ品種から醸造されたワインを、定温コンテナでバルク(大量)輸入しています。中間マージンや国内代理店フィーを完全に排除した直輸入体制により、ワイン単体の液体原価は1杯あたり数十円規模に抑えられています。
「赤字覚悟で無理をしている」のではなく、「他社が真似できない規模の自社調達ルートを構築したからこそ、この価格でも確実に利益が残る」というのが、サイゼリヤの赤字覚悟メニューの真の姿です。