アニメ『BLEACH 千年血戦篇』において、大前田希千代の株を決定的に押し上げたのが、見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)の星十字騎士団(シュテルンリッター)との激闘です。特に「BG9(ベー・ゲー・ノイン)」との遭遇戦は、大前田という男の人間的魅力が凝縮された名シークエンスとなりました。
滅却師の急襲により瀞霊廷が火の海と化す中、大前田の実家も襲撃を受けます。そこで登場するのが、大前田の最愛の妹である大前田希代(おおまえだ まれよ)です。大前田家の家族(父・日光、母・希華、兄・希男、姉・希美、弟・希次郎三郎)は全員が大前田希千代と瓜二つの肥満体・豚鼻という強烈なビジュアルですが、末妹の希代だけは奇跡的な美少女として描かれています。大前田はこの妹を溺愛しており、典型的なシスコンとしての一面を覗かせます。
機械仕掛けの冷酷な滅却師BG9によって希代が人質に取られ、眼前で身体を刺し貫かれた瞬間、大前田の「副官」そして「兄」としてのリミッターが完全に外れました。恐怖に震える自らの足を叱咤し、ボロボロになりながらも妹を救い出すためにBG9へ突撃。卍解を奪われて重傷を負った砕蜂を背負い、妹を抱えながら戦場を駆け抜ける姿は、まさに真の戦士そのものでした。
ネット上で拡散された「大前田死亡説」の真相
検索エンジン等で「大前田希千代 死亡」という不穏なワードがサジェストされることがありますが、結論として大前田希千代は死亡していません。千年血戦篇の激しい戦闘で重傷を負い、BG9からの激しい銃撃や斬撃を受けたシーンがあまりに悲壮であったため、連載当時の読者から「大前田はここで殉職したのではないか」という憶測が広まりました。
実際には涅マユリによる治療や四番隊の手当てを受け、過酷な最終決戦を最後まで生き残っています。原作最終話(10年後)および公式続編である『獄頤鳴鳴篇(ごくいめいめいへん)』においても、相変わらず二番隊副隊長として健在であり、逞しく職務を全うしています。
また、アニメ版で大前田希千代の声を担当した声優・樫井笙人(かしい しょうと)氏の名演も見逃せません。ギャグシーンでの情けなく甲高い絶叫から、シリアスな戦闘でのドスの利いた怒声まで、絶妙なグラデーションで演じ分けたことで、キャラクターの立体感と好感度が劇的に向上しました。