結論から整理すると、リステリンがアメリカ国内で全面的に禁止、あるいは回収・販売中止になった事実は存在しません。全米の大手小売店や薬局チェーンでは、現在も主力商品として棚一面に並んでいます。では、なぜこのような「アメリカ禁止」という極端な噂が日本国内で定着したのでしょうか。
発端の一つは、2010年に米国食品医薬品局(FDA)が製造元へ送付した警告書(Warning Letter)にあります。当時、フッ素を配合した一部の「リステリン トータルケア」製品のパッケージにおいて、「歯肉炎の予防」や「歯垢(プラーク)の除去」を謳っていた表示に対し、FDAは「市販の抗う蝕(虫歯予防)モノグラフの枠組みを超えた未承認の医療的主張である」と指摘しました。
FDAが求めたのは「製品効能の表示(マーケティング表現)の是正」であり、成分そのものの危険性を理由とした販売禁止や回収命令ではありませんでした。しかし、この規制指導のニュースがインターネットを介して伝播する過程で、「FDAから警告を受けた=危険物として禁止された」という短絡的な誤解へと変質していった経緯があります。
さらに、リステリンを展開するKenvue(旧ジョンソン・エンド・ジョンソンのコンシューマーヘルス部門)の公式見解においても、製品は各国の医薬品医療機器法およびFDA基準を厳格に遵守して製造・販売されており、日常的な使用における安全性が確認されていることが継続して発表されています。