SNSや大手質問サイトの投稿を検証すると、「なぜあいつばかり上司に可愛がられるのか」という不満の声が連日投稿されています。現場の観察から見えてくるのは、職場で自然と贔屓される(重用される)人物には、単なる能力の多寡を超えた対人関係の共通パターンが存在するという事実です。
第一に、「報告・連絡・相談(報連相)の頻度とリアクションの早さ」です。贔屓される人物は、上司の不安を先回りして解消することに長けています。成果物の完成度が80%の段階でもこまめに相談し、上司の意見を反映させる余白を残します。これにより、上司側は「自分のアドバイスによって部下が育った」という共同所有感覚(当事者意識)を抱き、結果としてその人物への愛着を深めていきます。
第二に、「感情の自己開示と素直な傾聴姿勢」が挙げられます。淡々と完璧に仕事をこなす孤高のタイプよりも、適度に自分の弱みを見せ、「ここが分からなかったので教えてください」と素直に頼れる人物のほうが、目上の庇護欲を刺激します。指示を受けた際も、「承知しました」だけでなく、「〇〇さんのあのアドバイスのおかげでスムーズに進みました」と具体的に感謝を伝えるフィードバック力を持っています。
ただし、現場の生の声には厳しい側面もあります。特定社員への偏愛が露骨になると、「本人の実力以上の下駄を履かされている」「トラブル発生時に周囲が助けてくれなくなった」というように、贔屓される側が同僚から孤立し、メンタルヘルスを損なうケースも少なくありません。贔屓は受ける側にとっても、諸刃の剣となり得る構造を孕んでいます。