アラブの男性が身に纏う白い衣装には、地域や国によって異なる正式名称が存在する。アラブ首長国連邦(UAE)やオマーン、カタールなどのペルシャ湾沿岸地域では主に「カンドゥーラ」あるいは「ディシュダーシャ」と呼ばれ、サウジアラビア王国やヨルダンなどでは「トーブ」という呼称が一般的だ。
どれも同じ白い長袖の足首丈ドレスのように映るかもしれない。しかし、襟元の形状やボタンの数、タッセル(飾り紐)の有無に目を向けると、地域ごとの誇りとアイデンティティがはっきりと見えてくる。たとえば、UAEのカンドゥーラは襟がなく、胸元から繊細な紐が垂れ下がるエレガントなデザインが特徴だ。一方でサウジアラビアのトーブは、きっちりとした立襟とカフスボタンを備え、まるで西洋の高級ドレスシャツのような威厳を漂わせる。毎日アイロンがしっかりと掛けられたパリッとした生地を維持することが、現地紳士の身だしなみにおける絶対的なルールとなっている。