エリクソンの理論は、対人援助職を目指す国家資格試験において不動の出題実績を誇ります。試験問題作成者がエリクソンを繰り返し問うのは、患者や園児が「今どの発達の節目にあり、何に葛藤しているのか」を正確に見極める力が現場で不可欠だからです。
看護師国家試験における頻出パターンと臨床への接続
看護師国家試験(必修問題および状況設定問題)では、患者の年齢と発達課題を結びつける問題が頻出しています。特に問われやすいのは以下の3つのポイントです。
- 乳児期の「基本的信頼」:入院によって主たる養育者から引き離された乳児が示す愛着行動の乱れに対し、分離不安の軽減と看護師への信頼形成がケア計画の要点となる。
- 学童期の「勤勉性対劣等感」:小児病棟で長期療養する児童に対し、院内学級での学習機会や身の回りの自立課題を設定し、「できた」という有能感を削がない支援が問われる。
- 壮年期・老年期の葛藤:がん等の慢性疾患を抱えた中高年患者が「家族や職場で役割を果たせない」と悩む背景に生殖性の危機があり、終末期患者が人生を回顧するプロセスには自我の統合への希求がある。
保育士試験「保育の心理学」での出題ポイント
保育士試験では、乳児期から幼児期後期までの「初期3段階」が集中して狙われます。第一次反抗期(イヤイヤ期)を迎えた子どもが「自分でやる!」と主張する姿は、第2段階の「自律性」の表れです。これを頭ごなしに叱責したり過干渉に先回りしたりすると、子どもは「恥と疑惑」を内在化させてしまいます。また、第3段階の「積極性(自発性)」では、好奇心から様々な遊びに挑戦する一方、失敗や規則違反によって生じる「罪悪感」とのバランスを取る援助指針が過去問の核となっています。