彼の真骨頂は、作品のジャンルやトーンに合わせて自らの色彩を自在に変えるカメレオンのような柔軟性だ。例えば、映画『ヤクザと家族 The Family』では、時代の波に飲まれる狂気と凄みを孕んだ男を怪演し、観る者に強烈なトラウマ級のインパクトを残した。その一方で、連続テレビ小説『おむすび』で見せたヒロインを優しく見守る父親役では、温かみと情けなさが同居する人間味溢れる演技で全国のお茶間を魅了した。
凶暴性と包容力。この極端な二項対立を同一人物が演じ分けているという事実だけでも、彼が持つ底知れぬ演技幅の広さがよく解る。