この楽曲を語る上で絶対に外せないのが、公式メイキング映像でも広く知られる伝説のワークショップリハーサルです。映画の製作承認(グリーンライト)を勝ち取るため、20世紀フォックス(当時)の最高幹部たちが集まった密室で、歴史的なドラマが起きました。
当時、主役のP.T.バーナムを演じるヒュー・ジャックマンは、鼻の皮膚がん切除手術の直後であり、医師から「絶対に歌ってはならない」と厳命されていました。主演が歌えないという危機的状況の中、作品の命運はレティ役のキアラ・セトルによる「This Is Me」のワンテイクに託されたのです。
しかし、舞台出身の実力派であるキアラ自身も、過酷な容姿批判や自己否定のトラウマに長年苦しんでおり、当初はこの大役を引き受けることすら怖れていました。譜面台の奥に隠れるようにして震える声で歌い始めた彼女でしたが、隣にいたヒュー・ジャックマンが力強く手を握り締め、楽曲がクライマックスへと向かうにつれて感情が爆発。最後には譜面台を押し退け、涙を流しながらスタジオの全員を圧倒する歌唱を披露したのです。その場にいたスタジオ幹部たちは総立ちで喝采を送り、その瞬間に映画の製作が正式決定しました。