SNSやネット掲示板の相談スレッドを観察すると、「日中は平気なのに、夜ベッドに入った瞬間や、早朝に目が覚めたときに足のかゆみで狂いそうになる」という書き込みが圧倒的多数を占めます。この現象には、医学的な生体メカニズムとダニの生態が深く関わっています。
第一に、ダニ刺されはアレルギー反応の中でも「遅延型(IV型アレルギー)」に分類されます。ダニが皮膚に唾液腺物質を注入した直後はほとんど刺激を感じず、細胞性免疫が反応するまでに半日から2日ほどのタイムラグが生じます。つまり、「朝起きてかゆいから、今朝刺された」わけではなく、前日や前々日の夜に刺された痕が、睡眠中にピークを迎えて顕在化しているのです。
第二に、自律神経の切り替えと体温の上昇です。就寝中は副交感神経が優位になり、全身の末梢血管が拡張して皮膚温が上がります。血流が増加すると、かゆみを引き起こす伝達物質ヒスタミンが受容体に結合しやすくなり、神経終末の活動が活性化します。さらに布団内部の湿気と保温効果が加わることで、知覚神経が過敏になり、わずかな刺激でも脳へ「激痛に近いかゆみ」として伝わってしまう構造があります。