子どもの呼吸は本来、大人に比べて腹式呼吸が優位で全体的にお腹が上下するものですが、胸の一部が深く吸い込まれるように窪む現象は生理的な呼吸ではありません。医学的には、呼吸筋以外の筋肉を動員して必死に呼吸を維持しようとする小児の努力呼吸の見分け方として最も重視される指標です。
特に乳児が呼吸を苦しそうにして胸がへこむ場合、小児は肋骨や胸郭の軟骨が非常に柔らかいため、気道の閉塞感に比例して外見上のへこみが顕著に現れます。観察すべき部位と危険度のグラデーションは以下の通りです。
まず初期段階では、呼吸のたびに子どもが肩呼吸をして肋骨の間がへこむ「肋間陥没」や、みぞおちがへこむ「胸骨下陥没」が見られます。さらに閉塞が悪化すると、首の付け根である鎖骨の上がへこむ呼吸(胸骨上窩陥没)や、小鼻をピクピクと膨らませる「鼻翼呼吸」、頭を上下に揺らす「シーソー呼吸」へと進行します。鎖骨周辺までへこみが波及している状態は、呼吸不全の一歩手前であり、躊躇なく医療機関へアクセスすべき状況です。