SNS上で突如として巻き起こった「イオンのTシャツが想像以上に使える」という評判。単なる一過性のバズにとどまらず、継続的な売上拡大を記録している最大の要因は、イオングループが推し進めてきたアパレルサプライチェーンの抜本的な再構築にあります。
小売業界関係者によると、イオンは2020年代半ばにかけて、衣料品部門における中間マージンの徹底的な排除と、ベトナムやカンボジアを中心とする直営委託工場の品質管理基準を大幅に引き上げました。従来の「安価な素材で無難な形を作る」手法から脱却し、繊維の選定から編み立て、染色、カッティングに至るまでを一括管理する体制へ完全シフト。これにより、競合他社がインフレや円安の影響で定番Tシャツの価格を1,500円〜2,000円台へと引き上げるなか、本体価格980円〜1,480円(税込)という破壊的なプライスゾーンを死守することに成功しました。
さらに、購入者の購買心理を後押ししているのが「日常着における実用性の再定義」です。毎日の洗濯に気兼ねなく耐えられ、ワンシーズンで気兼ねなく買い替えができる価格でありながら、1枚で着用しても下着感が漂わない生地の厚み(目付)とトレンドを意識したボックスシルエットを実現。消費者が抱いていた「トップバリュの服は野暮ったい」という偏見を、現物のクオリティが鮮やかに裏切った瞬間、SNSでの自発的な拡散へとつながりました。