ホルモン治療において最も避けるべき事態は、体型の変化や不快感に耐えかねて、患者自身の独断で服薬を突然やめてしまうことです。子宮内膜症や腺筋症の病巣は、休薬によって直ちに再活性化し、激痛や将来の不妊リスクを跳ね上げます。治療を続けるべきか、治療方針の再考を求めるべきかの境界線はどこにあるのでしょうか。
治療継続を前向きに選択すべき人
むくみや一時的な増量はあるものの、本来の主目的である「激しい生理痛の消失」や「過多月経による貧血の改善」がしっかり実感できている方です。また、体重増加が2〜3キロ以内の水分貯留にとどまり、服用期間がまだ開始後3ヶ月以内であるならば、漢方や食事管理を導入しながら経過を見る価値が極めて高いと言えます。
主治医と治療法の変更を含めて慎重に再検討すべき人
減塩や漢方、運動を数ヶ月徹底しても体重が5キロ以上増加し続けている場合や、重度の気分の落ち込み(うつ状態)を伴い、鏡を見るたびに強い精神的苦痛を感じて日常生活に支障をきたしている方です。この場合、プロゲスチンによる食欲中枢の刺激で実質的な脂肪沈着が進んでいるか、薬剤との体質的なミスマッチが疑われます。レボノルゲストレル放出子宮内システム(ミレーナ)への切り替えや、GnRHアゴニスト・アンタゴニスト製剤など、他系統の治療選択肢について婦人科医師相談を本格的に進めるべきサインです。
病気と闘うために、自分の心と身体の尊厳をすべて差し出す必要はありません。「痛みを止めること」と「自分らしい体型を保つこと」は、適切な医療介入とセルフケアの掛け合わせによって十分に両立可能です。