日本ポピュラー音楽界の頂点に君臨し続けた天才作曲家、筒美京平。その本名は渡辺栄吉という。すぎやまこういち氏の門下で腕を磨き、日本グラモフォンでのレコードディレクター経験を経て作家へと転身した経歴は、当時の音楽界でも異色だった。作品数は約3,000曲。いしだあゆみの『ブルー・ライト・ヨコハマ』から、国民的アニメ『サザエさん』の主題歌、さらには80年代アイドル黄金期を彩ったヒット群まで、その振り幅は驚異的だ。
彼の作るメロディは単なる流行歌にとどまらない。洋楽の最先端サウンドを貪欲に吸収し、日本の歌謡曲へと昇華させる手腕はまさに芸術的であった。日本のポップス、いわゆるJ-POPの礎を築いた最大の功労者といっても過言ではない。その巨大な功績が遺された今、実名である渡辺家の遺産管理と伝統の維持は、実子たちを中心とした親族の手へと託されている。