ネット上の簡易的な解説記事では「お腹をペコペコへこませれば誰でもビブラートが出る」といった極論が散見されますが、これは大きな誤解です。力任せにお腹を動かしても、喉が閉じていれば声帯に過度な摩擦が生じるだけであり、かえってちりめんビブラート治し方から遠ざかってしまいます。
ちりめんビブラートの本質は、声帯を閉鎖する力と息を送り出す圧力のアンバランスさに起因する「喉の痙攣」です。この悪癖を根本からリセットするには、以下の手順を踏む必要があります。
第1に、母音「お」または「う」での脱力発音です。日本語の「あ」や「い」は平たい口の形になりやすく、舌根が下がりきらずに喉を圧迫しやすい性質があります。あくびをしたときのように喉の奥を縦に広げ、軟口蓋(口の奥の柔らかい部分)を持ち上げる感覚を掴むことで、喉仏の過剰な上下運動を物理的に封じ込めます。
第2に、ハミング(鼻歌)を用いた呼気圧の均一化です。口を閉じた状態で「んーー」と一定の音程を伸ばし、その振動を鼻腔や眉間に集めます。この状態から、みぞおちの力をわずかに抜いたり張ったりすることで、声帯に負荷をかけずに音の強弱と揺れを作る感覚(ビブラート感覚の掴み方)を脳に記憶させていく作業が極めて有効です。