長年親しまれているキャラクターだからこそ、ネット上ではいくつかの思い込みや誤解も散見されます。ここでは広告史の事実に基づき、代表的な2つの誤解を是正します。
誤解1:「ごはんですよ!」のために作られたキャラクターである?
これは最も多い誤解の一つです。前述の年表通り、のり平キャラクターが登場したのは1958年の「江戸むらさき」のCMが最初です。看板商品である「ごはんですよ!」が発売されたのはその15年後の1973年。すでに国民的人気を得ていたのり平キャラクターが、新商品の発売に合わせて起用され、商品自体の爆発的ヒットとともに「ごはんですよの顔」として強く再定義されたというのが歴史的事実です。
誤解2:他作品のキャラクターを勝手にパロディ化していた?
のり平アニメーションの真骨頂は、西遊記や孫悟空、怪傑ゾロ、さらには有名漫画のキャラクターたちに丸メガネと独特の鼻をくっつけてしまう大胆なパロディにあります。しかし、これらは決して悪質な無断使用ではなく、原作者や著作権元への深い敬意と正式な許諾・協業のもとで制作されてきました。近年話題となった『ゲゲゲの鬼太郎』や『ONE PIECE』とのオフィシャルコラボCMは、半世紀にわたり築き上げてきた「桃屋のパロディなら許される」という業界内の絶大な信頼関係があってこそ実現した企画です。
現代の企業広告においてタレントのスキャンダルリスクや版権管理は極めてシビアですが、桃屋は「実在の喜劇王をアニメ化し、品のあるユーモアで昇華させる」という手法を貫くことで、半世紀以上にわたってブランドイメージを無傷のまま守り抜くことに成功しました。これは現代のマーケティング視点から見ても、奇跡的なコーポレート・ブランディングの成功例と言えます。