ネット上の掲示板やSNSでは、聖天様に関する数多くの不思議なエピソードが共有されています。その最たるものが、「他の一切の神仏で叶わなかった願いが、聖天様に縋った途端に現実化した」という歓喜天のご利益体験談の数々です。数千万単位の負債を抱えて倒産寸前だった中小企業経営者が、参拝を始めた翌週に大口の出資者と出会って危機を脱した話や、重篤な疾患からの生還劇など、理屈では説明のつかない実話が枚挙にいとまがありません。
しかし、光が強ければ影も濃くなります。「聖天様に願いが叶う代償として、別の何か大切なものを奪われるのではないか」という不安の声も常に付きまといます。実際に伝わる古い逸話では、「金運を得る代わりに寿命を差し出した」「望まぬ形で家族に変化が起きた」といった怪異談が存在することも事実です。
寺院関係者や密教僧の教えによれば、聖天様が不当に参拝者から代償を奪い取ることは本来ありません。問題となるのは、「願いを叶えてくれたら毎日参拝します」「一生酒を断ちます」といった自ら立てた誓い(願掛け)を一方的に反故にした場合です。聖天様は現世利益を即座に授けてくださるからこそ、信徒側の「誠意と信義」を厳格に求めます。代償の噂の本質は、神仏との約束を軽んじた人間が招く因果応報に他なりません。