「ハレの日の自分」を演出することに情熱を傾ける78歳の主人公を描いた『すぐ死ぬんだから』。身なりを整え、美しく装うことを放棄した同世代へのアンチテーゼとして立ち上がる主人公の姿は、読者に強烈な爽快感をもたらす。「どうせすぐ死ぬんだから」と身だしなみを怠る周囲を切り捨て、倒れるその瞬間まで綺麗であり続けようとする執念は圧巻だ。
本作は、老いを諦めの理由にしない力強いライフスタイルを提示した。人は何歳になっても承認欲求や美的感覚を手放さなくていい。そんなメッセージが、従来の小説にありがちな湿っぽさを吹き飛ばし、新たなシニア像を提示した点が高く評価されている。