横綱・稀勢の里(現・二所ノ関親方)が独立し、新たな拠点を構えてから数年が経過した。看板力士の独立は、部屋にとって単なる組織の再編にとどまらない大きな転換点となった。一時期は「かつての勢いが影を潜めたのではないか」という周囲の冷ややかな視線に晒されたことも事実だ。
しかし、そこで足元を見つめ直したことこそが、現在の反転攻勢の糧となっている。伝統の重圧に押し潰されることなく、自分たちの足で再び土俵を踏みしめる決意。師匠である田子ノ浦親方(元前頭・隆の鶴)のもと、部屋の空気は静かながらも確実に熱を帯び直していった。