インターネット上の掲示板やSNSで定期的にバズを生むトピックの一つに「銀座9丁目の謎」があります。中央区の公式発表資料や日本郵便の郵便番号検索データ(銀座は1丁目〜8丁目まで:〒104-0061)を確認すると、公的な住居表示としての「銀座9丁目」は存在しません。電柱や建物の角に設置されている街区表示板にも「銀座九丁目」という表記は一枚も存在せず、行政上の銀座は「8丁目」で完全に終点となります。
それにもかかわらず、なぜ銀座9丁目の噂がこれほど根強く語り継がれているのでしょうか。その銀座9丁目の真相は、中央区銀座と港区新橋を隔てる境界線の歴史に深く関係しています。
かつて銀座8丁目と新橋の間には「汐留川」が流れていました。昭和の高度経済成長期、東京オリンピック(1964年)に向けた首都高速道路建設に伴い、この汐留川が埋め立てられ、高架下に巨大なショッピングセンターが誕生します。これこそが現在も多くの買い物客で賑わう「銀座ナイン」です。
施設関係者が残した当時の記録や開業時のPR資料を紐解くと、銀座ナインの由来は「銀座8丁目のさらに先、新橋へと繋がる9番目の街」「中央区銀座と港区新橋を結ぶ架け橋」という親しみを込めた俗称から採用されたことが分かります。行政上の住所は「中央区銀座8丁目先」や高速道路の高架下特有の区界に位置していますが、ビル名に堂々と「ナイン(9)」を冠したことで、「銀座には9丁目がある」という都市伝説が全国へ広がることとなりました。