『テレキャスタービーボーイ』の歌詞を読み解く上で最大の鍵となるのが、「ペルソナ(社会的仮面)」と「セクシャリティ・自己表現の不一致」です。楽曲中には「嘘つき」「少年少女」「変身」といったモチーフが執拗なまでに散りばめられています。
イラストレーター・映像作家のねこぜもんが手掛けたMVでは、学生服を着た少年がリップを塗り、スカートを穿き、ウィッグをつけて自らをデコレーションしていく姿が描かれます。この描写は単なる女装趣味にとどまらず、社会から押し付けられる「男らしさ」「女らしさ」という規範に対する違和感の表明と解釈できます。
「有象無象のバケモノ」というフレーズは、画一的な価値観を押し付け、個性を異物として排除しようとする世間そのものを指しています。主人公はそのバケモノたちに囲まれながら、自らの真実を隠すために「嘘」という鎧をまといます。しかし、サビで響く「テレキャスタービーボーイ」という叫びは、エレクトリックギターのソリッドな音に乗せて、仮面を剥ぎ取った生身の自己を世界へと叩きつける宣戦布告なのです。
「嘘つき」という言葉に込められた二重のアイロニー
歌詞内で繰り返される「嘘つき」というフレーズには、他者を欺いていることへの罪悪感と同時に、「そうしなければ生きていけない世界への皮肉」という二重のニュアンスが含まれています。自分を偽ることは防衛本能でありながら、同時に最も愛してほしい自分自身を否定することでもある——この思春期の自己矛盾こそが、聴く者の胸を強く締め付ける原動力となっています。