従来の医療ドラマにありがちだった「天才外科医が無理な手術を成功させて大団円」というフォーマットを、この作品は根底から覆した。記憶障害を抱える脳外科医という極めて繊細な役どころを、過剰な演出を排除したドキュメンタリータッチの映像美で描き切った。
医療従事者からも絶賛されたリアリティの背景には、徹底的な考証と、演者たちの徹底した役作りがあった。派手なBGMで感情を煽るのをやめ、沈黙や視線の交わし方で登場人物の葛藤を表現する。この引き算の美学こそが、視聴者の心を深く揺さぶり、同クールの競合作品を一歩リードする要因となった。