ネット検索で「名古屋巻き」と入力すると、関連ワードに「ダサい」「時代遅れ」といった不穏な言葉が並びます。かつて誰もが羨望の眼差しを向けたトップトレンドが、なぜここまで極端な評価を受けるに至ったのでしょうか。
都内の大手ヘアサロンに勤務するトップスタイリストへの取材によると、その違和感の根源は「当時のスタイリング手法をそのまま再現してしまうこと」にあります。2000年代前半のオリジナルスタイルは、梳き(すき)をあまり入れない重めのベースカットに対し、細めのコテで毛先から中間まで強烈なスパイラル状の熱を加え、ハードスプレーで風が吹いても崩れないほど強固に固定する手法が主流でした。この「頭部全体が大きく見えるシルエット」と「硬質で動かない質感」が、現代の抜け感や空気感を重視する審美眼からは「古臭い」「バブルを引きずっている」と映ってしまうのです。
当時の特番インタビューや女性誌の巻頭企画で、カリスマ読者モデルたちが「朝はブローとコテ巻きに1時間をかけるのが淑女の嗜み」と語っていたように、当時は「手をかけて作り込んだ人工美」こそが最高のステータスでした。しかし、個人の自然体やヘルシーさが尊ばれる現代においては、その「作為的な過剰さ」が敬遠される構図が浮き彫りになっています。つまり、名古屋巻きという概念そのものが終わったのではなく、旧態依然としたスタイリング技法が時代と乖離しているというのが実態です。