歴史の暗部に光を当てる試みは、学術界と市民研究者の協働によって新たな段階を迎えている。「通州事件真相記録プロジェクト」をはじめとする民間の研究活動は、散逸していた個人の日記や手記、地方紙の報道記録の発掘を推し進めてきた。
決定的な役割を果たしているのが、アジア歴史資料センターのデジタル公開基盤だ。防衛省防衛研究所や外務省外交史料館が所蔵する機密指定解除文書がオンラインで閲覧可能となり、近代東アジア史の再考がかつてない速度で進展している。学術出版・アーカイブ業界でも、日中双方の公文書を冷徹に対照・検証したモノグラフが相次いで刊行されており、イデオロギー的な対立を超えた実証主義的アプローチが定着しつつある。