日本のミニシアターブームおよびアート映画史において、宮崎あおいと宮崎将という兄妹が果たした役割は極めて象徴的です。その原点であり頂点とも言える作品が、2000年に公開された青山真治監督の映画『EUREKA(ユリイカ)』でした。バスジャック事件で心に深いトラウマを負った兄妹、田村直樹と梢を演じた二人は、演技という枠組みを超えた静謐な佇まいで国際的な絶賛を浴びました。
当時の映画祭関係者の記録によると、実の兄妹だからこそ醸し出せる無言の空気感、互いの痛みを共有し合うまなざしの交錯は「演技指導で生み出せる領域を遥かに超えていた」と高く評価されました。カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞した際、兄の宮崎将は17歳、妹の宮崎あおいは14歳。二人が見せた陰影のある表情は、日本映画界の未来を背負う新星として強烈に刻み込まれました。
その後も二人は、映画ファンを唸らせる作品で共演を重ねています。2002年の『害虫』(塩田明彦監督)、2004年の『理由』(大林宣彦監督)、そして2006年の映画『初恋』です。『初恋』では、府中三億円事件をモチーフにした切ない青春群像劇の中で、女子高生のみすず(宮崎あおい)とジャズ喫茶に集う不良グループの亮(宮崎将)として再びスクリーンを共にしました。血縁関係を意識させない骨太な俳優同士の掛け合いは、今なお邦画史のハイライトとして語り継がれています。