ドラッグストアの薬剤師相談窓口や大手知恵袋で後を絶たないのが、「陰部やデリケートゾーンにできたしこり・吹き出物に塗ってよいか」という相談です。下着の摩擦や蒸れによって陰部に毛嚢炎やおできができるケースは珍しくありません。
結論として、外陰部の皮膚表面に生じた軽度の毛嚢炎・化膿であれば使用可能ですが、粘膜部への塗布は厳禁です。小陰唇の内側や膣内、尿道口付近などの粘膜は角質層が存在せず、薬剤の吸収率が腕の皮膚の40倍以上とも言われます。粘膜に塗布すると激しいかぶれや刺激感、さらには膣内細菌叢のバランス崩壊を招く恐れがあります。
また、陰部のしこりが単なるおできではなく「性器ヘルペス」「梅毒の初期硬結」「バルトリン腺炎」「性器カンジダ症」である場合、自己判断でクロマイN軟膏を塗布することは病状を隠蔽し、診断を大幅に遅らせる極めて危険な行為です。痛みが激しい場合や数日経っても引かないしこりは、即座に婦人科や泌尿器科、皮膚科の専門医を受診しなければなりません。
顔への正しい塗り方にも厳格なルールが存在します。スキンケアのクリームのように顔全体へ塗り広げるのは大きな誤りです。
洗顔後に患部を清潔にした上で、清潔な綿棒の先端に少量の軟膏を取り、「化膿している中心部のみにピンポイントでちょんと置く」のが鉄則です。基剤に油性のワセリンや流動パラフィンが使われているため、健康な肌の広範囲に塗り広げてしまうと、逆に周囲の毛穴を塞いで新たなコメドを誘発する引き金になります。