2016年2月、キリン氷結のWeb限定スペシャルムービーおよびテレビCMが公開された瞬間、ソーシャルメディアは騒然となりました。いつもの白衣とハコフグ帽子を完全に封印し、シックな黒の細身スーツに身を包んだ謎のサックス奏者「GYO(ギョー)」。東京スカパラダイスオーケストラのフロントラインに立ち、激しいリズムセクションの中で重厚な低音リフを正確に刻み込んでいた人物こそ、さかなクンその人でした。
公開当初、ネット上では「音源はスタジオミュージシャンによる吹き替え(当て振り)ではないか」「映像の指使いだけを後から合わせたCG合成ではないか」といった懐疑的な声も散見されました。しかし、当時の制作関係者の証言およびキリン公式発表資料により、録音・撮影現場の全テイクにおいて、さかなクン本人が実際に音を出して生演奏していた事実が立証されています。
スカパラのバリトンサックス奏者である谷中敦氏も、当時のインタビューやSNS上で「本番前のリハーサルから完全に音が鳴り響いており、セッションのノリや音圧も対等だった」と手放しで絶賛。魚類学者としての顔しか知らなかった世間に、トッププレイヤーと堂々と渡り合う「本物のサックスプレイヤー・さかなクン」を強烈に焼き付けた瞬間でした。