本作が数ある鬱漫画の中で別格扱いされる最大の理由は、「因果応報」や「耐え忍んだ先の一筋の光」といった物語のクリシェを徹底的に破壊している点にあります。
家族全員を失い、自身も冤罪や周囲の悪意によってどん底まで叩き落とされた太郎。物語のクライマックスにおいて、彼は頭部への激しい暴行と精神的ショックによって重度の脳機能障害(ロボトミー状態)に陥ってしまいます。
迎える結末では、かつての聡明さも希望も完全に失った太郎が、施設の一角で夕日を眺めながら意味をなさない奇声を発する姿で幕を閉じます。復讐を果たすことも、誰かに救われることもなく、ただ社会から完全に壊された廃人として消費されて終わるこのラストシーンこそ、読者に一生消えないトラウマを植え付ける決定打となりました。