金星を獲得した力士には、勝負の栄誉だけでなく、極めて現実的な経済的恩恵がもたらされます。角界で「金星は一生モノの資産」と称される背景には、力士報奨金の支給基準と独特の計算ロジックがあります。
力士には毎月支払われる基本給のほかに、年6回の本場所ごとに支給される「力士報奨金(配給金)」が存在します。この支給額のベースとなるのが「持ち給金(基準額)」です。通常、本場所で勝ち越すと勝ち越し1点につき持ち給金が50銭(0.5円)加算されますが、平幕が横綱に勝利して金星を挙げると、一撃で持ち給金が10円(10,000銭)加算されます。これは勝ち越し20勝分に匹敵する破格の昇給レートです。
金星配給金の計算方法はシンプルかつ強力です。本場所ごとの支給額は「持ち給金の額面(最低保証3円、1円単位へ切り上げ)×4,000円」で算出されます。
つまり、金星を1個獲得して持ち給金が10円増えると、本場所ごとに支給される金星の報奨金額は以下のように跳ね上がります。
- 1場所あたりの増額:10円 × 4,000円 = 40,000円
- 年間(全6場所)の増額:40,000円 × 6場所 = 240,000円
特筆すべきは、この加算された持ち給金は「現役期間中に減額されることがない」という点です。十両以上の関取の座を維持している限り、引退するまで年24万円の不労所得的な手当が上乗せされ続けます。例えば、25歳で金星を1個獲得し、35歳まで10年間関取を務めた場合、その1勝だけで累計240万円の手当が上乗せ支給される計算になります。