東京の下町や地方の旧市街地を歩くと、かつてどこにでも見られた高いコンクリートの構造物が姿を消しつつあることに気づく。2026年に本格適用が開始された強化耐震改修要綱により、建設から半世紀以上が経過した銭湯や老朽工場の構造チェックが義務化されたためだ。
解体費用は数千万円規模に達することも珍しくなく、経営高齢化に悩む銭湯事業者にとっては死活問題となっている。その一方で、クラウドファンディングを活用して解体資金を集めたり、耐震補強を施して街のランドマークとして保存したりする市民運動も各地で芽生えている。見上げる存在だった鉄筋コンクリートの柱は、いまコミュニティの存続をかけた議論の渦中にある。