ハチを脅かす捕食者は、上空の猛禽類ばかりではない。微小な昆虫界にも、凶暴極まりない暗殺者が潜んでいる。その代表格がシオヤアブだ。空中でホバリングしながら獲物を待ち伏せし、飛翔中のハチの背後から超高速で襲いかかる。強靭な脚で獲物をがっちりとロックすると、鋭い口器を蜂の頸部に突き刺し、強力な神経毒と消化液を注入する。
シオヤアブに背後を取られたハチは、自慢の毒針を使う間もなく麻痺し、体液を吸い尽くされて干からびた外骨格へと変貌する。さらに、カマキリの奇襲攻撃や、蜂の巣内部に侵入して幼虫に卵を産み付けるスズメバチノヤドカリマユバチのような寄生蜂の存在も無視できない。蜂の天敵たちのネットワークは、ミクロの世界においても執拗かつ致命的だ。