インターネット上の検索や旅行記などにおいて、しばしば見受けられるのが「倉敷市児島の由加神社本宮」と「和気町の由加神社」の混同です。この点について、歴史的背景を正しく整理しておく必要があります。
児島に位置する由加神社本宮は、蓮台寺とともに神仏習合の巨大な修験道場として全国から大名や庶民が集った総本山です。一方、和気町の由加神社は、その篤い信仰圏の中で地域の人々が日々の守護を願い、御分霊を丁重にお迎えして祀った地域密着型の崇敬社です。
「本宮に行かなければご利益が薄いのではないか」という疑問を抱く方もいますが、これは神道の教えにおける「分霊(ぶんれい)」の本質を誤解したものです。神道において神仏の御魂は、ロウソクの火を別のロウソクに灯しても元の炎が減らず同じ熱と光を持つように、分霊された社であっても本体と寸分違わぬ完全な神徳と霊験が宿るとされています。
むしろ、観光地化された大規模寺社特有の人混みを避け、落ち着いた環境で一心に手を合わせられるという点において、和気由加神社は格別の参拝価値を有しています。