林葉直子の棋歴を振り返るとき、その才能の煌めきは今なお将棋界の歴史において傑出しています。福岡市出身の彼女は、わずか11歳で女流アマ名人戦に優勝。天才少女としてその名を轟かせ、故・米長邦雄永世棋聖の門下に弟子入りしました。上京後、1980年に12歳で女流棋士としてプロ入りを果たすと、瞬く間に女流棋界の頂点へと駆け上がります。
最大の金字塔は、1981年の第4期女流王将戦におけるタイトル獲得でした。14歳3か月でのタイトル獲得は当時の最年少記録であり、ここから前人未到の女流王将10連覇(クイーン王将)を達成。通算タイトル獲得数は15期にのぼり、中井広恵氏や清水市代氏らとともに初期の女流棋界を牽引する絶対的なエースとして君臨しました。
さらに彼女の非凡さは盤上にとどまりませんでした。1990年代初頭には作家活動を本格化させ、集英社コバルト文庫から発表した『とんでもポリス』シリーズは累計部数数百部を数えるベストセラーを記録。将棋界の枠組みを完全に飛び越えたマルチカルチャーの旗手として、メディアから絶大な脚光を浴びることになったのです。