テントの耐風性は、幕体のファブリック強度以上に「フレームワークの構造幾何学」によって決定づけられます。現在市場に流通している主要なテント構造には、耐風性において決定的な優劣が存在します。
最も風に対して脆弱なのは、側面が切り立っているロッジ型やスクエアなワンポール(ティピー)型です。風を垂直に受ける面積が広いため、突風時にペグが受ける引き抜き荷重が極端に増大します。一方、2本のポールを中央で交差させる標準的なクロスポール型ドームテントは、風を受け流す曲面を持ち合わせているものの、交差点が1点に集中するため、横風によってフレームが大きく歪みやすい弱点を抱えています。
これに対し、圧倒的な耐風性を誇るのが複数のポールを複雑に交差させて球体に近い多面体を形成する「ジオデシック構造」です。バックミンスター・フラーの測地線理論を応用したこの構造は、外部から加わった強風の圧力を特定の1点に集中させず、すべてのフレーム交差ポイントへと均等に分散・伝達します。一方向からの強風で片側が押し込まれても、反対側のフレームが突っ張り棒のように働き、幕体全体の剛性を維持し続けます。
さらに、フレーム自体の材質も見逃せません。安価なグラスファイバー(FRP)ポールは粘りがなく、限界を超えると破裂するように折損します。風に強いテントに採用されるのは、航空機素材と同等の強度を持つジュラルミン(A7001やA7075超々ジュラルミン)や、世界的トップブランドであるDAC社の「TH72M」「フェザーライト」アルミポールです。これらは極めて高い復元力と適度なしなりを備え、強風で一時的にたわんでも元の形状へと弾性復帰します。