王室付きの大魔女サリマンの使い魔として仕えていたヒンは、王宮へと向かうソフィーを監視・誘導し、ハウルの居場所を突き止めるためのスパイ(遠隔通信用の魔法装置としての役割)を担っていました。しかし、物語が進むにつれてヒンはサリマンへの定時連絡を放棄し、最終的にはハウル一家の完全な味方へと転じます。なぜヒンは主君であるサリマンを裏切ったのでしょうか。
裏切りの最大の理由は、ソフィーとヒンの間に芽生えた純粋な信頼関係にあります。王宮の大階段を登る際、老婆の姿に変えられて自身も過酷な状況にありながら、ソフィーは足の進まないヒンを「ハウルが化けている」と勘違いしつつも抱きかかえて登り切りました。その後、正体がハウルでないと判明しても邪険に追い出すことなく、城の仲間として自然に食事を与え、居場所を作ったのです。
サリマンの元では「従順な使い魔」として駒のように扱われていたヒンにとって、ソフィーの暖炉のような温かさと無条件の肯定は、忠誠心を上書きするのに十分すぎる理由でした。ヒンは強制された命令ではなく、自らの意思でソフィーたちを守る道を選んだのです。