献立表を開いた客がほぼ確実に頭を悩ませるのが、看板を背負うふたつの御膳の存在だ。すなわち、「昼御膳 妻籠」と「昼御膳 馬籠」である。中山道の宿場町から名を取ったこの兄弟メニューは、一見似通った構成に見えながら、その狙いは明確に分かれている。
手頃な価格で多品種を味わいたいなら「馬籠」に軍配が上がる。籠盛りに美しく配された小鉢、鮮やかなお造り、揚げたての天ぷらが一度に卓上を彩り、目でも舌でも楽しませる設計だ。対して「妻籠」は、そこに一人鍋の温物が加わり、より懐石のコースに近い重厚感をもたらす。ビジネスランチやカジュアルな会食なら馬籠の軽快さが心地よく、親族の集まりや記念日には妻籠の温かみが場を和ませる。滞在時間と相手の好みに合わせてこの二つを使い分けられるようになれば、木曽路通の仲間入りといえる。