日本最大のネット掲示板群において、ボクシング世界戦の井上尚弥 5ch 実況スレは、プロ野球の日本シリーズやサッカーW杯の日本代表戦に匹敵する書き込み速度を記録します。普段は皮肉や辛口な論評を好むなんJ民であっても、井上の試合に関しては「異次元すぎて笑うしかない」「漫画の主人公かよ」といった率直な感嘆のコメントがスレの大半を埋め尽くす現象が定着しました。
一方で、圧倒的優位が戦前に予想されるがゆえに、ネット上には極めて独特なアンチ・懐疑派の言説が生まれる傾向も見逃せません。たとえば2024年のルイス・ネリ戦で初回に喫したまさかのプロ初ダウンや、タフな強豪を相手にした判定勝ちの際、掲示板には瞬時に「井上のパンチが効かなくなっている」「ネリにダウンを取られた時点で底が見えた」といった冷ややかな投稿が投下されました。これはアンチによる中傷という側面以上に、「完全無欠のモンスター」を過剰に神格化した反動として、わずかな被弾や苦戦を劇的な綻びと捉えてしまうネット特有の過敏反応と言えます。
実際、ネリ戦では2回のダウンから即座に修正して8回TKO勝利を収め、世界戦史上最多となる通算23度目のKO勝ちを達成しました。なんJスレのログを時系列で追うと、ダウン瞬間の阿鼻叫喚から、ラウンドが進むにつれて相手を追い詰める井上の冷徹な組み立てに「結局バケモノだった」「アンチ逝ったあああ」と手のひらを返す流れが様式美となっています。