日本全国の鮎のコンフィ フレンチ名店が共通して追求しているのは、「魚体の美しさを崩さず、いかに硬い骨を液状化に近い柔らかさへ導くか」という点です。これを可能にするのが、油を使った低温長時間の熱対流技術です。
魚の骨や結合組織を構成する主要成分はI型コラーゲンです。コラーゲンは65℃付近から変性を始め、80℃前後の環境で数時間維持されると徐々にゼラチン化(可溶化)します。一方で、100℃以上の沸騰油で揚げてしまうと、骨が柔らかくなる前に身の水分が急激に蒸発し、パサつきや皮の破裂を引き起こします。そのため、鮎のコンフィの温度と時間の黄金比は「80℃〜85℃を維持して3時間30分〜4時間」が科学的な最適解とされています。
低温調理器を用いる場合、ジッパー付き耐熱袋にオイルと鮎を密封し、水槽温度を85℃・4時間にセットすることで、油の酸化を防ぎながら完璧な火入れを実現できます。身は瑞々しいエキスを抱え込み、内臓(ワタ)のほろ苦いコクがオイルへ移ることで、鮎全体の旨味が濃縮された仕上がりになります。