本作が日本中の視聴者を虜にした最大の理由は、実力派キャストによる重厚な演技のぶつかり合いだ。主演の堺雅人が見せた、目を見開き歯を喰いしばって組織の理不尽に立ち向かう姿は、働くすべての日本人の代弁者となった。
それ対する香川照之演じる大和田暁の狡猾さと圧倒的な存在感、そして北大路欣也が演じる中野渡謙頭取の底知れぬ静けさと威厳。この三者の心理戦が重なり合うことで、ただの勧善懲悪を超えた企業サスペンスドラマの金字塔が完成した。頭取が下した出向命令の瞬間、半沢の瞳に宿った怒りと決意の光は、演じる堺雅人の真骨頂であり、テレビ史に残る名場面である。